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医師不足は避けられますか? 国は何をし、地方はどうしたら良いですか? 医師はどうすべきで、患者は何を求めますか?
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うろうろドクターさんのブログを参照して下さい
http://blogs.yahoo.co.jp/taddy442000/18821166.html


11月18日13時1分配信 毎日新聞の記事です
以下引用
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「病院で産んだ子は愛しにくい」。上田市でバースセンター設立を訴える
「安心してお産と子育てができる地域をつくる住民の集い」のメンバーのほとんどは、
病院と助産師によるお産を経験している女性たち。彼女たちが口をそろえるのは
病院出産に対する不満
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以上引用終了

どう思われようと勝手です
分娩場所の選択をどうされようと勝手です

ですが
その病院で働いている我々医師は何ですか?
今日病院で取り上げた赤ちゃんの存在はどうなりますか?
医学的介入がどうしても必要だった妊婦さん
安全のため早くから入院し安静にし、お産の日を待っていた妊婦さん
一緒に立ち会っていた旦那さん

それを貶めるような発言をするような人達へは、産婦人科医として激しく嫌悪感を覚えます

日常業務は大変です
でも何とか周りのスタッフで協力して、今日という日をこなして明日につなぎます
誰か1人が倒れれば、その地域の周産期医療が終わってしまう
本当にそんな状況で、何とか一日仕事に明け暮れます

でも
それも、こんな人達にかかってしまえば

*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/
「病院で産んだ子は愛しにくい」。上田市でバースセンター設立を訴える
「安心してお産と子育てができる地域をつくる住民の集い」のメンバーのほとんどは、
病院と助産師によるお産を経験している女性たち。彼女たちが口をそろえるのは
病院出産に対する不満
*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/*/

ですからね。

分かり合えるはずがないのだと、そう思います
分かり合う価値を、もう見出せません
勝手にして下さいと言う気に、そんな虚無感に襲われます

でも
恥ずかしげも無くこのような記事を載せる毎日新聞
このような発言をする「安心してお産と子育てができる地域をつくる住民の集い」のメンバー達へ

この記事は
人の職場と人の患者を馬鹿にした発言をするあなた方への
抗議の記事です

分かり合えなくても結構ですが、不用意な発言がどれだけ多くの人を傷つけるのか
猛省を望みます
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産婦人科当直、いわゆる「産直」について

お産を扱う病院には通常産直医師が泊まっています
お産は分単位で緊急を要する状態に陥る事があります
緊急帝王切開の判断しかり、母体搬送の判断しかり
そのような病態に対応するため、院内には産婦人科当直医が必要になります
当直体制を敷いていない病院でも、30分以内に病院に駆け付けられるような拘束医制で
対応しているはずです

この産直ですが、考えれば考えるほど
少人数でお産を扱える病院は、今後絶滅危惧種のように減っていくはずです

幾ら当直体制ではない、on callの拘束制としても
1人病院は論外として(未だお産を扱っている病院はありますが)
2人体制でも単純に15日/月
3人体制でも10日/月
の拘束です
その間1st callで、速やかに病院に駆け付けられる状態を保たなければいけません
また緊急帝王切開に切り替わる場合など、どうしてももう一人人手が必要になり
第2拘束医、2nd callの医師を備えておかなくてはいけません
この医師もまた速やかに病院に駆け付けられる状態でいなければいけません

そのような体制を少人数で維持する事
最早今後不可能です

一昔前の医療状況であれば
駆け付けた医師が酔っていても、例え分娩に間に合わなかったとしても、病院到着に遅れたとしても
そのようなものだとして、許容される場面があったかもしれません
ですが、現在の司法判断に基づいた医療(JBM)を行うに当たり
そのような言い訳はなんの弁解にもなりません
また、そのような状況を許容するような患者背景は、現在皆無です

そうであるならば、厳密なon call体制もしくは産直体制を敷かざるを得ません

仮に派遣元である大学病院から応援医を得たとしても
2人体制であれば少なくとも10日以上の産直or1st callに加え、さらに10日以上に2nd call
実に月の2/3以上を、いつ病院から呼び出しがかかるかわからない状況ですごす必要があります
3人体制でも月の半分以上です

そして産直はまだしも、拘束については何の手当てもつかない場合が殆どです
待機時間は労働時間に含まれないとの判断を、多くの病院が取っています

常に2nd callまで定められ、30分以内に駆け付けられるような拘束体制を敷かざるを得ない科は
産婦人科以外にほとんどありません
それが産婦人科医の使命であると、精神論で押し切ればそれまでですが
それでは今後産婦人科医療に新規参入する医師が先細りなのは、目に見えてます

誰であれ、自分の時間を有し、家族との団欒の時間を有し、趣味の時間を有したいと願います
それでも敢えて艱難辛苦の道を選ぶ事は、確かに素晴しいことではあります
ですが、そのような美談も持続可能な事ではなく、またそのような聖人君子たる人のみが産婦人科医
になるべしとの論も、この産婦人科医不足の現在あまりに楽観論にすぎます

多くの署名がなされます
この地域から産婦人科医をなくすなと

ですが、それはすなわちとどまる産婦人科医、呼び寄せる産婦人科医に
上記のような労働体制で働けと言っている事とイクォールなのです
それを踏まえての署名、決議、訴えなら、何も言うまいと思います

ですが、それが本当に持続可能な産婦人科医療なのか
産婦人科医の労働条件を勘案してのことなのか
もう一度考えて欲しいと思うのです
看護師の内診問題について
医療系ブログでもいくつか取り上げていらっしゃるブログがあります
同じ医師でも他科の先生にはわかりにくい問題ではありますし、ましてや一般の妊婦さんや
非妊婦さんには真相がどうなのかよくわかっていらっしゃらない問題でしょう
何しろ産婦人科医の自分も、事の顛末がよくわかっておりません

何となく自分が理解している範囲のコメントです

・看護師の内診は違法ではない
 →新しく改正された保助看法では看護師の職務に「助産の介助」が入っています
・元々看護師の内診を規制する法律はない
 →厚生労働省看護課長の通達のみ
・看護師の内診が違法との判例はない
 →問題となった病院は不起訴となっている
  →ただし昨今の医療事情を勘案しての不起訴であり、有罪とする法的根拠が希薄なのかは不明
・産婦人科医側としては、看護師の内診はOKとの合意がなされていると認識
 →医師・助産師・行政の3つの合意が形成されているとの認識
  →産婦人科側からはofficialな雑誌で「もう安心です」との強気なコメントが載っている
   →ただし助産師側からそれを追認する発言はなし
     →行政側からもそれを認める確かな発言はなし
     →産婦人科医側の独りよがりな認識?暗黙の了解と言う大人の決着?
       →どちらにせよ不透明な決着の仕方
・助産院の嘱託医・契約病院に配慮する代わりに、看護師の内診を黙認すると言う政治決着?
 →現場サイドに情報は降りてこない
・助産師側は看護師の内診をofficial上は認めない姿勢を変えていない
 →情報はどこまで降りているのか
・マスコミは情報を把握していない?
 →看護師の内診が認められたとの報道はされていない
  →マスコミの報道がなければ非医療従事者に情報は届かない
   →看護師の内診は未だ違法であり、あり得ないとの認識
    →この人は助産師ですか?との質問は未だ続く

現場サイドと各機関のtop間の認識にずれが生じている問題の典型です
踊る大捜査線の青島巡査部長じゃないですが
「事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ」
と思ってしまう事案です

私は看護師の内診は医師の指示があればなされて当然だと思いますが
やりたくない看護師に無理やりしてもらう気もありません
できれば助産師に管理してもらうのが良いとは思います
看護師、助産師の内診で母体に影響を与える問題に差が出るとは思えませんし
実際産科看護師が業務を担っている施設は、そのままでも別に問題はないと考えます
ただ、現場で法的にOKなのか否なのか、グレーゾーンを設けて、あとは現場の判断でとは
無責任すぎます

駄目なら駄目で、法的に規制しできないようにするべきです
それに伴うお産難民の発生も受け止める覚悟を、多くの国民が持つならば。
そうでないならば、合法の旨を周知させ、現場で働く医療従事者に後ろめたい思いをさせないように
するべきです。


認識、記載に誤りがあれば、指摘していただけると幸いです

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夜の3時に病院のPHSが鳴ります
隣で寝ている妻と子供を起こさないように、枕もとのPHSに手を伸ばします
寝ぼけた声で電話に出ないように心掛けながら
「今日は第2拘束でもないフリーの日だったよな。」
そう思いながら、通話ボタンを押し
「はい、西川です。」
冷静になろうと思いながらも、夜更けの電話につい無愛想になってしまいます。
「夜分すいません。病棟の城ケ崎ですが、菊谷先生と柏崎先生からグレードAカイザーと、お産になりそうなVBACの患者さんが重なってしまった為、西川先生に応援を頼めとのご連絡でした。」
病棟助産師の城ケ崎が、慌てた様子で状況を説明します。
緊急帝王切開に術者と第1助手で当直の菊谷先生と、柏崎先生が入れば、病棟から産科医がいなくなります。
その間に進行しているお産がVBACの患者であれば、助産師任せにはしておけません。

今日の休みは久しぶりに朝ごはんを家族で一緒に食べて、娘の好きなアニメの映画を見に連れて行ってやりたかったのにな…。
娘の泣き顔が頭をかすめます。
何度となく緊急で呼び出され、約束を反故にしてきたとは言え、約束を破る度心が痛みます。

「わかりました。すぐ行きます。15分位で病棟に行くと先生達に伝えてください。」
感傷を拭い去り、諦めの気分で仕事モードに頭を切り替えます。
吊下げてあった服に腕を通しながら、ベッドに目を向けると妻が起き上がり心配そうな顔で声をかけます
「また緊急カイザー?」
付き合っている時から、何度もその言葉でデートを途中で切り上げた為か、元消化器病棟の看護師の妻もすっかり産婦人科用語に詳しくなりました。その分今回の緊急の程度もわかってくれているようです。
「グレードAのカイザーと、VBACの患者がいるみたい。急ぎで行ってくるよ。奈津美にはすまないって。」
第1、第2拘束でもないフリーの日とは言え、今までに緊急で呼ばれた回数は少なくありません。
その度駄々をこねる娘に向かい

「お父さんは大事な仕事をしているの。大事な命がきちんと産まれてきますようにって。奈津美みたいに元気な赤ちゃんが、ちゃんと産まれてきますようにって。赤ちゃんと、そのパパとママの為に頑張っているのよ。
だから、泣いてお父さんを困らせたら駄目よ。ちゃんといってらっしゃいって言いましょうね。」
5歳になる娘にそう語りかける場面を、何度も目にし、その度娘と支えてくれる妻に申し訳ない気持ちになります。

「急いで帰ってくるよ。そんなに時間はかからないと思うから。」
時間がかかるかもなと、頭をかすめた思いを脇に寄せて笑顔を作って、2分でほぼ身支度を整えた後で妻にそう言います。
「無理しないでね。昨日も遅かったでしょ。体を壊さないか心配で…。」
心配そうな顔は今回の緊急性だけではなく、繰り返される過重労働に対する心配の顔でもありました。

どんなに働いても20時間でカットされる時間外勤務手当
決して充足される見込みのない慢性的な人手不足
いつ我が身に降りかかるかわからない訴訟のリスク

それでも、行かなくてはなりません
大事な仕事をしていると、妻が娘に語りかけた職種に身を置く内は
いつ心が折れるか、体が限界を迎えるか
それは決して遠くないことだろうと漠然と思いつつ、まだ決めかねているその間は

「行ってきます。」

そう言って、まだ暗闇の中病院に向かいます
PHSの呼び出しから5分後の事でした

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産婦人科のよくある風景
珍しくもなく、日常に紛れる風景
でもこの人たちが、最後の砦となって、産婦人科の「今」を守っています
この人たちが前線から撤退すれば、倒れれば
地方の周産期医療は簡単に崩壊します
そしてそれは、身近な場所で起こる事かもしれません

どうか今一度、産婦人科医に花束を

我々は福島事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します

医師不足の解決法
考えてみたけれど、事態を即効的に解決する、そんな解決策は存在しなく
地道に、ゆっくりとでも環境を整えていくしかなくて

医師不足→残った医師の負担増加→患者さんにかけられる時間の短縮→患者さんのクレーム増加

残った医師の負担増加→連続勤務→疲労困憊→判断力低下→医療過誤?の眼差し→医療訴訟→防衛医療

患者さんのクレーム増加→マスコミの医師バッシング→医師の逃散→医師不足

この負のスパイラルをどこで止められるのか。
どうやって止めるのか。まだ有効な決定打のない現状

そんな中、医師不足を止める・緩和するのと、真っ向から対立する懸案事項
それが福島県産婦人科医の不当逮捕

「この逮捕は医師不足が招いた悲劇」と言う、医師側に責任ありきで、敢えて医師不足を解消する為に
擁護する、そんなわけではありません
医師不足、それがなくとも、逮捕された医師の行為は非難されるべき事ではなかったと、
まして逮捕される類のものではなかったと
そう考えます

医師不足の現状だから、逮捕された医師を守れと言っているのではありません
そんな時代じゃなかったとしても、非難されるいわれのない、逮捕されるいわれの無い
誤りではない選択を、不当逮捕された医師は取ったのだと考えます

ただ、この逮捕は産科医師不足に拍車をかける結果となりました
当然の成り行きです
第一に、医学的に誤りではない行動を取った医師を逮捕した点で、この逮捕は批判されるべきです
第二に、全国的な問題となっている医師不足に拍車をかけた点でも、この逮捕は批判されるべきです

面子の為の逮捕、面子の為の起訴、面子の為の有罪持ち込み
ここまで誤まった行為が続き、誤りを正す事が出来るのは、最早判決のみとなってしまった事すら
医師の無力感を誘発するのに十分な事でした
もし、この不当逮捕で有罪になるような事になれば、日本の産科医療は終わりになると考えます

防衛医療、それを完璧に現場の医師が実践した時
最後の砦はどこになるのでしょう?どこが手を挙げるのでしょう?誰が参加するのでしょう?

医学的に非難されるいわれの無い事柄で、幾ら同じプロフェッショナルの同僚が擁護しても
机上の知識で学んだ素人に却下され逮捕される
そんな危険を誰に冒してもらいたい、誰が冒すべきだと、かの人達は考えているのでしょう?

もうpoit of no returnは超えた、そうかもしれません
ですが、もしこの逮捕が肯定されるような事になれば本当の終わりです

これから産科医療に携わる若い医師・医学生、そして現在携わっている同僚の為に

我々は福島事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します

本記事は
新小児科医のつぶやき
2.18企画
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20070207
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