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医師不足は避けられますか? 国は何をし、地方はどうしたら良いですか? 医師はどうすべきで、患者は何を求めますか?
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あけましておめでとうございます

新年1回目の更新です

今年こそ、目に見える形で医師不足を取り巻く環境が改善して欲しいと
願いますが、おそらくこの1年も現実的に改善は無理でしょう

小さな変化が現場に及ぼす影響は小さいままです
焼け石に水の対策はされないよりはましですが、現場のモチベーションを
上げるには程遠いままです

向こう数年で医師不足を劇的に改善する方法はありません
どんなに政府・各党・地方自治体が対策を取っていても
悲惨な現実を短時間で改善させる対策は、今もって挙げられていません

それは、その方法がないからです

「こうすれば今すぐ解決する」
そんな事を言う人の提案は、非現実的な提案でしかありません
そんな提案が現実的に取れるのであれば、既に実行に移されています

そうであれば
前提となるのが「現在の医師不足環境の短期改善は不可能」
すなわち「現場の医師が背負う負担は中長期的にこの先も続く」
と言う厳然たる事実です

もともと医師不足対策については多くの医療系ブロガーによって
崩壊は防げ得ない、焼け野原状態になる
と言う諦めにも似た予想が以前からされていました

現場の医師が感じる医療崩壊・医師不足の皮膚温度は敏感です
1人の欠員によって自らの身に加わる負担の重みを考えれば
敏感にならざるを得ません

個々の医師の頑張りでカバーできる期間も、確かに存在していました
その次のステップとして、医療スタッフに負担を強いる期間
そして患者がやや不便を感じる期間
最終的に患者が路頭に迷う期間←今ここ

医師、コ・メディカル、患者、一般市民、報道機関、行政
それぞれが医師不足・医療崩壊を実感として感じられる皮膚温度は
だいぶ異なっています

一般市民からすると、医師不足・医療崩壊をマス・メディアの報道を通し
耳に入ってくる機会が増えたのは2,3年の短い期間であったかもしれません。
短い期間で急に進行してきたとの錯覚を覚え、何らかの方法で短期での
改善が可能との幻想を持ち得るのもわかります

ですが、現在に至るまでに各業種の臨界点を超え
ようやく一般市民の皮膚温度にまで達した現状は
既にpoint of no returnを超えてしまっています

現場の一産婦人科医としては、そのpointを超えてしまっている現状
イコール「少なくとも向こう数年の労働環境改善が望めない」
となりますから、今後に対して悲観的にならざるを得ません

どこからも援軍の来ない前線で、どこまでも過重労働に耐えろと
そう言われて頑張り続ける理由があるほど、分娩を取り扱う産婦人科医
は恵まれた職業ではありません

「嫌ならやめろ」

と言われてもおかしくありません。本当に。
ですが幸い分娩取扱いを辞めても婦人科、不妊内分泌など、働ける環境は
産婦人科医には幾らでもあり、実際多くのDrが逃散しています

医療圏から数人の医師が去るだけで、壊滅的な状況になる事が確実な地域
が現在日本に多く存在しています
今日も現場で働く医師たちの心の糸がぷっつり切れて
明日離職を決定するかもしれません

そんな中、医師のモラル不足、赤ひげ待望論、頑張れば何とかなると言った
周回遅れの議論や
医師は被害者意識を捨てよ、などの現場無視の言説が
何を生み出し、何を破壊するのかは興味のあるところです

Point of no returnを超えてしまっている現時点においても
当然医師不足に対し中長期的な対策はなされるべきです
ですが、短期においては患者に負担を強いざるを得ませんし
それが一番有効的な対策だと思います

簡単に言えば

・夜中の病院には重症患者以外来させない
 →例えば加算1万円を払ってでも受診せざるを得ないと思う
  切羽詰まった患者以外に夜間の病院を受診する資格はありません
・緊急手術を緊急で出来ないのが今の日本
 →緊急帝王切開を手術決定後30分で開始するなんて妄想は
  今の日本では通用しません
・待ち時間は長くて当たり前
 →あなたの患者の前に呼ばれた人が、あなたの待ち時間の原因で
  あなた自身が、次の患者の待ち時間の原因です
・病院は遠くて当たり前
 →近くに総合病院があって欲しいなんて贅沢は望めないのが
  今の日本です
・一生に多くて数回のお産の時位不便さを甘受する
 →病院が遠くて不便なら、病院の周りに住む位の意識がこれから
  必要です

まあ、どれを取っても不平・不満に押されて諦めてもらう事など
難しいですが

嫌なら辞められる医師と
嫌でも受診せざるを得ない患者
現実的に短期の改善を望むなら、無理を通すしかないのですが。

それが嫌で、いたる所で焼け野原、というのも平等日本の一つの形
ではあります

今年の流れはどうなるでしょうか







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