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医師不足は避けられますか? 国は何をし、地方はどうしたら良いですか? 医師はどうすべきで、患者は何を求めますか?
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参考はいつもお世話になっている
「産科医療のこれから」様です いつも勉強させて頂いています。ありがとうございます。
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/01/post-1341-5.html

管理人様は
「政治に声を届けよう」と言う運動をされておられ、実際に政治家の方々から
お返事が返ってきているようです。
実際に行動に移される事は、本当にお忙しい中大変な事だと思います。
微力ながら私も出来る範囲で声を届けていこうと思っています

また「産婦人科診療ガイドライン 産科編2008」
と言う案が日産婦の方から冊子で会員の元へ届けられています
今のご時世、色々な疾患にガイドラインが作られ、それに沿った治療が求められています
婦人科分野では「卵巣癌」「子宮頸癌」「子宮体癌」などにガイドラインがあり、日々癌診療
をする上で必須の冊子です。
確かにスタンダードな治療をするという事は、日本全国で標準的な治療を受けられると言う
患者さんにとっても有益な点があります。
この疾患のこの病期の治療は「日本全国、いや世界でも、どの病院のどの医師が診ても
同じ治療方針を多くの場合提示しますよ」と言う事は患者さんに安心感を与えます。
そのようなガイドラインが産科にも出来るのなら、何ら問題はないのではないか?
と言う事も出来ると思います。
ですが、婦人科疾患、特に癌診療のようにスケジュールを立て、予定手術が可能な病気
と異なり、1分1時間単位で病状が変化する産科診療においては
一概にガイドラインに則って診療を行う点が難しい点があります

現在の産科診療は、施設によって治療方針の決定にばらつきがあると思います
それが即診療レベルの良し悪しにつがなるわけではありません
施設によって、積極的に行える分野と、防衛的にならざるを得ない分野がどうしても
生じます
例えば常勤麻酔科医がいない病院:夜間は緊急手術でも自ら麻酔をかけなければいけない病院
と、24時間いつでも麻酔科医がいて全身麻酔をかけてもらえる病院では緊急帝王切開、搬送の
タイミングにずれが生じても仕方がありません
また新生児科の受け入れ態勢が、32週2000g以上なのか?28週1000g以上なのか?など
gや週数で自分の病院で可能なのか、他施設への搬送が必要なのかで粘り具合が違ってきます。
そのように施設によってだいぶ状況が異なるのが、現在の産科診療の現状です
(勿論それでも産科医がいる分だけその施設は幸せなのですけれど…)
それを周産期を扱う施設で、全ての医療レベルを統一すると言う事は当然無理なわけです

当然ガイドラインを作る先生方もその現状を知っているとは思いますが、そのガイドラインが学問的
な意味を越えて、順守すべき事柄として独り歩きする事を懸念します
「ガイドラインでは搬送するべきと書かれているのに、どうして搬送が遅れたんだ!」
「ガイドラインではこのように治療するべきと書かれているのに、どうして違う治療をしたんだ!」
と地理的、マンパワー的な要因を無視して訴訟の原因となるようなガイドラインは、あまり好ましい
ものではないと考えます
勿論標準的な治療を行う事は当然であり、それから外れた治療をする際にはそれに対する疑問に
対してプロフェッショナルとして応える責務は医師にあると思います
ですが、病態が目の前で刻々と変化する中、それに対応した事に対し、後方視的に非難されるような
事が続けば、防衛医療に走らざるを得ず、結果母体搬送の頻度は増すと思います

今回のガイドラインに対し、我々産婦人科医は我が事として真剣に向き合う必要があります

話題は変わりますが
上述の
「産科医療のこれから」様の本日のブログに
岡本みつのり衆議院議員の文が載っています
議員のHPも見させて頂きましたが、医師出身の議員で、内科専門医も取得されている先生です
医療に詳しく、現在の医師不足に対し医療知識を有する分現実的な提案をして頂けるのでは
ないかと期待いたします
ですが、「産科医療のこれから」様に載っている文については、疑問を持たざるを得ません。
ご本人は公的な方でもあり、文面に書かれていないお考えもあるかと思いますので、転載は控えます。
元の「産科医療のこれから」様のブログをお読みください。
ただ
「勤務医師の職業選択の自由」「公的医療を公共財」「犠牲」について、考えてみます

勤務医師の職業選択の自由は、公共の福祉の元に制限されて(犠牲となって)しかるべきか?

との問いに私は「No」と答えざるを得ません
私のブログでも、医師不足の解決策として最も安易であるのは「国による医師の人事権掌握」と
書いてきました。そして、それは安易であるが故に、多くの問題点を抱えます
全国に散在する医師をスライド的に強制力を以て配置すれば、短期的に現状が改善するのは
確かです。医師の絶対数が足りないのは確かですが、それでもある地域に存在する僅かな偏在を
均し、マンパワーがより少ない地域に配置する事で一人当たりの負担が減り、地域住民に取っても
医療アクセスが守られると言うメリットはあります

ですが、その人事権、職業選択権は、国に接収されるべきものでしょうか?
それが可能であるならば、徴兵制も紙一重です
国家存亡の急に対し、緊急避難的に人権が制限されると言う事はやむを得ない事かもしれません
それならば、そのような時代に生まれた者として、従わざるを得ない場面もあるかもしれません
ですが、現状はそのような状況なのでしょうか?
今の時点でその伝家の宝刀を抜くと言う考えは、明らかに行き過ぎだと考えます
やむを得ず、それ以外に選択肢がないと言うならばいざ知らず、正すべきを正さず、直すべきを
直さず、困難時に現在第一線で苦しむ職種に今以上の負担を強いる考えは理解できません
また、それは決して長続きしない施策であると考えます

職種に対し誇りは持ちますが、奴隷的苦役に就く位なら食べるに困らない程度に、医師免許を
使った別の仕事を探します。
戦時下ならいざ知らず、まさか拒否したところで獄に繋がれるわけでもないでしょうから。
(違反者を取り締まるなどと考える国なら、さっさと亡命します)

また公的医療が公共財であるならば、それを守る責務があるのは医師ではありません
医師がいなくては守れないのは当然ですが、その医師を守るのが本来の姿であると思います
それを守らず、使い捨てにする発想ならば、そんな公共財に守るべき価値はありません

人身御供の発想で、最大多数の最大幸福の為少数派は虐げられても仕方ないと考える国民が
大多数を占めるならば、そんな国は平均寿命が短くなって衰退する位が丁度良いです

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コメント
コメント&TBありがとうございます!
反響、ありがとうございます(>▽<)!!!
多分、初めての反響です。(国会議員へのメール)
もう、全然誰からもレスポンスがなくって。
ま、自分だけでも意味があるかな~(;;)、とさみしくやっています。(手間が膨大なのでちょぴり寂しかったです)
とてもうれしいです!!!

それから、ガイドライン、私も問題だと思っています。まずは存在そのものが周知されていないことに驚くとともに危機感を覚えています。
締切りが1月16日なので、もしもこの文章を読んでくださった産婦人科医の方、急いで目を通していただけるとありがたいです。みなさま全員からFaxが送れるという、(日産婦演題募集以外では)珍しく画期的な取組みです。賛成にしろ反対にしろ、これにたいしてレスポンスがなければ、日産婦がこのように会員の意見をきこうという取組みさえしてくれなくなってしまいます!
とにかく目を通して、賛成でアレ、反対でアレ、意見表明を伝えてあげてください!

それから岡本先生の御意見ですけれど、
たぶん「医師からの運動を起こせるように」リークと捉えていいと思います!
私達はこの声にこたえて、危機感を持って世に訴えていかねばならないのだと思います。
政治は手が届きにくい分野のような気がしてしまうし、まさにそういう分野であることは間違いないのですが、構成している国会議員は個々の人間です。問題意識を感覚に訴えることができれば、すこしでも世の中が変わるかもしれません。
少なくとも官僚に声を届けるよりも楽だよ、と国会議員の先生はおっしゃいます。ただの一意見でしょうけれど!

よろしく御協力お願いいたします!
【2008/01/09 09:09】 NAME[僻地の産科医] WEBLINK[] EDIT[]


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