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医師不足は避けられますか? 国は何をし、地方はどうしたら良いですか? 医師はどうすべきで、患者は何を求めますか?
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医師不足が解消しません
産婦人科では医師の集約化は避けられず
地域からお産のできる施設、妊婦健診を受けられる施設が減っていってます

その集約化の波はどうしようもありません
医師がその地域にいないのですから

ではその地域に医師を増やせるでしょうか?
増やせる地域もあるでしょう。自助努力でフリーの医師を一歩釣りで捕まえたり(招聘したり)
県の権限で移動できる医師を増やしたり
ですが、どれも根本的な解決法ではなく、2,3年の短期間で医師不足を解決するのは
最早無理です

今はこれ以上地域から医師を減らさない、流出させない方策を作る事が優先されます
勿論長期的に医師の招聘を目指さなくてはいけないのは、言うまでもありません
ですが、現在の状況を改善せずして、長期的に医師を地域に呼び込むことは
絶対に無理です

マスコミは言います
「どうして患者を受け入れないのか」と
「また義務を忘れた医師たち」とまで書いた新聞紙がありました(産経新聞社説ですが)
現場で働く医師達の志気を削ぐのに熱心な人たちは一定数存在します
確かに
患者を受け入れられない、24時間の安心を保てない、もしもの時にどうするか
それは身近な不安材料ではあります
自らの事として考えれば、そんなシステムは納得できないと考えるのも理解できます
特に社会の中心で世論を作る方々は、ある程度年齢を重ねてきた方々です
そんな自分がもしもの時病院に受け入れてもらえない、自分の家族が病院受診を拒否される
それが身近な断罪すべき事例として、感情的に批判する事は不安の裏返しでもある事を考慮すれば
無下に非難する事はできません

ですが、そこでやはり思考停止に陥らず、発言をしてもらいたいと思うのです
医師のやる気を削ぐ発言をするメディア、コメンテータは存在します
それが冷静な分析による、説得力を持つ意見であるならば、現場で必死に働く医師も聞く耳を持つでしょう
ですが、多くは不安の裏返しによる感情的な非難で、実効性・現実性を持った提言になり得ません
そんな言葉達は、現場で働く医師の心に届かず、むしろそのような発言をする世論との距離は遠のき
立ち去り型サボタージュは進行していきます
それが、そのメディア・コメンテータの望むべきあり方でしょうか

産婦人科医療に関すれば
未だ助産院の嘱託医、提携病院を産婦人科医に定めた医療法改正について
「開業権の侵害」として撤回を求める運動も続いています
助産院自体を否定するつもりは毛頭ありませんが、少なくとも産婦人科を嘱託医としておかない
もしもの時に搬送できる産婦人科を有する病院と契約していない助産院は
産婦人科医療に身を置くものとして、信頼できません
「総合周産期医療センターなどは助産院から連携の依頼があった場合、受け容れる事を義務化せよ」
などの意見は現場で働く医師に、脱力感を覚えさせる以外のなにものでもありません。
双方の信頼があっての医療連携です。
少ない産婦人科医で何とか日々の業務を行っている現場に、信頼をおけない施設からの搬送依頼
がどれだけのストレスを医師に与えるかわかっていないのでしょうか

1%の分娩数を取り扱う助産院は確かに産婦人科医不足の中、注目されてしかるべきだと思います
ですが、その施設が現在の産婦人科医療のスタンダードな医療水準を保てないならば
そのような施設は淘汰されるべきです
当然そのようなリスクを考慮してもなお、そのような施設で産むと言う選択権があるはずだとの意見も
あるとは思います
ですが、その場合も「駄目でした。残念でした。諦めましょう。」
と言う事には今の日本の医療ではなり得ません。
必ず何らかの医療施設へ搬送されることになるでしょう。
現在の医師不足の中、その搬送がどれほどの医療資源の消費になるか考えた時
医師過剰のご時世ならまだしも、現在の状況ではそのような選択肢は「わがまま」以外の何ものでも
ないと考えます
地域の周産期施設と契約をできない助産院は、その地域の周産期医療体制に必須のものではない
と考えざるを得ません

現在の医師不足を考えると、改善する気配が全くありません
むしろ地域では悪化の一途です
そのアクセルを踏んでいるのは誰ですか?


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コメント
選択の自由は?
わずか1パーセントの分娩数のうち、搬送を有するのはそのまた何パーセントですよね
その位の受け入れ体制は、どう努力しても作り出せないでしょうか?

初めから助産院を潰す目的ありきでは、いくら産科医不足と言っても、医者側の傲慢と取られかねません

現在満足いくお産を提供している、きちんとした助産院もあるわけですし、産科医不足の今のご時世、有効な資源として活用する方が得策ではないでしょうか
【2007/10/12 01:43】 NAME[助産の要] WEBLINK[] EDIT[]
自由には責任が伴います。
NICUを有する県立病院に勤務する産婦人科医師です。先月、同僚の医師が辞めてしまい3人だけで診療を行っています。はっきりいって、もう限界です。近くに助産院がありますが、嘱託医の依頼があれば断るつもりです。これ以上の肉体的、心理的負担には耐えられそうにもありません。もし嘱託医が義務化されるようであれば病院を辞めるつもりでいます。
全ての助産院に対して産婦人科医師が嘱託医になることを拒否しているわけではありません。実際、約75%の助産院は嘱託医を確保できるそうですから。いわゆる「きちんとした助産院」なのでしょう。では嘱託医を確保できる助産院と確保できない助産院との差は何なのでしょうか。やはり、お産を取り扱う医療従事者として、これまで同業者の信頼を得ることができないような過程があったからではないでしょうか?また、リスクに対する認識の甘さがあるからではないでしょうか?例えば、「1%の分娩数のうち、搬送を有するのはそのまた何パーセントかですよね」とコメントされていますが、その何パーセントかが母体死亡、新生児死亡、重度の新生児への障害という不幸な結果になったとき、1%の分娩数のうちの何パーセントにしか過ぎないからということで許されますか?当事者にとっては不幸なことが起こってしまったら、それは100%であるという認識はないのでしょうか?
厚生省看護科に元を発する「看護師の内診禁止」という通達により、多くの産科診療所が閉鎖に追い込まれました。日本のお産難民を増加させた影響については、1%のお産しか扱っていない助産院とは比較になりません。その結果、残された産婦人科医師の負担が増加し、さらに辞めていく産婦人科医師が増えていくという悪循環に陥っています。助産院の嘱託医を受ける余裕がない原因がここにもあるのではないでしょうか?看護師が内診をすることの危険性については、内診をしたことのある人間が一番よくわかっているはずです。何より看護師の資格すらない助産学生が、実習という名目で内診を行っているわけですから。看護師が内診をすることの危険性についての真偽はともかくとして、「患者さんの安全を守るため」という理由で、突然、看護師の内診は禁止となったことは事実です。
今回の医療法の改正は「看護師の内診の禁止」と同様に、「患者さんの安全を守るため」に考えられたものであるはずです。医療従事者として「患者さんの安全を守ること」は、自身の開業権(利益)より優先されるべき当然のことではないでしょうか?それでも「患者に選択の自由がある」ということを主張されるようであれば、己の利権を守るためと思われても仕方がないと思います。
しかしながら、助産院にとっても産婦人科医師にとっても良い、引いてはお産難民を減らすことになる唯一の解決策があります。患者には「選択の自由」がありますが、自分の意思で選択したことについては責任が発生します。ですから、患者には「選択肢」を示す必要があります。
具体的には、①助産院は嘱託医を必ずしも決める必要はない。②産婦人科医師は助産院の嘱託医となる必要は必ずしもなく、助産院からの搬送を受ける義務を負わない。③助産院は必ず、嘱託医の有無、搬送先の医療機関の有無について看板に明示し、患者に書面にてその説明を行うこと。④産婦人科診療所は助産師の有無、および看護師が内診をするのか否かについて看板にて明示し、患者に書面にて説明を行うこと。
正しい情報を与え、その上で自由な選択をしてもらう。もちろん、自分で選択したことによる結果については自分にも責任がある。これが全て丸く収まる方法であると思いますが、いかがでしょうか?
【2007/10/15 02:16】 NAME[疲れた産婦人科医] WEBLINK[] EDIT[]
法改正は当然です
疲れた産婦人科医さん、助産の要さんコメントありがとうございました。
助産院と嘱託医、契約病院の問題ですが、産婦人科医の立場から言うと嘱託医は産婦人科医に限るのは当然だと思いますし、また搬送する総合病院と契約を持つ事も当然だと考えます。

以前までは嘱託医を産婦人科医に限らなかったわけですが、そのメリットは比較的嘱託医を得やすくなる以外にありません。海外のように正常の分娩をきちんと取れる家庭医の存在は、現在の日本において皆無です。その現状を考えるに、何かトラブルがあった時に呼ばれる嘱託医が、非産婦人科医である事はトラブル回避の面であまり期待できません。
結局は名ばかりの嘱託医であり、スルーパス同然に産科を有する病院へ搬送される症例が増える事になります。
それは現在の産科医不足の状態において、明らかな資源の無駄使いであり、効率的ではありません。

きちんとした産婦人科医であれば対応できる軽微のトラブルも、症例を重ねていない非産婦人科医にとって対応できない場合は多々あると思います。それでも非産婦人科医も従来通り嘱託医として認めろとは、それは患者不在の論理です。

また産婦人科医側に嘱託医、総合病院側に契約を義務付けて欲しいとの論理は、その要求がどのような法理から導き出されているのか理解できません。少なくとも医療従事者として共感できる医療態度を取っていない開業者と、契約などしたくありません。
それでもなお契約しろと、己の利益のみ(それは医療従事者であり、患者であり得ますが)要求するならば、納得のいく根拠を提示してもらいたいものです。そのような奴隷的苦役につかなくてはいけない根拠をですね。

法改正に反対している方々の論理はやはり理解できません
【2007/10/16 22:48】 NAME[trias] WEBLINK[] EDIT[]
母子の安全
助産院が周産期施設と契約するのは、当然のことと思います。なぜなら、助産院の手に負えない場合、医療機関に確実に後を頼めるようルートを確保することは、母子の安全を第一に考える良心的助産院だと考えるからです。

そうでなければ、私は周囲の若い女性に勧めることは出来ません。現在私は、「嘱託医のいない助産院へは絶対に行くな」とふれて回っています。なぜなら、私は周囲の若い女性達に、安全に身二つになってほしいからです。

選択の自由は、安全を確保してからです。
【2007/10/30 12:20】 NAME[ばあば] WEBLINK[URL] EDIT[]
嘱託医について
ばあばさん
遅くなりましたがコメントありがとうございました
産婦人科医として、産婦人科以外を嘱託医におくような助産院は信頼できません
緊急の際母子の安全を考えれば、非産婦人科医を嘱託医に置くような選択肢はないはずです。

今回の法改正は当然の事だと思います
【2007/11/14 01:11】 NAME[trias] WEBLINK[] EDIT[]


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