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医師不足は避けられますか? 国は何をし、地方はどうしたら良いですか? 医師はどうすべきで、患者は何を求めますか?
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日本テレビで10月から産婦人科医を主役としたドラマが始まります

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「ギネ 産婦人科の女たち」
http://www.ntv.co.jp/gyne/
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原作は昭和大学医学部産婦人科学講座主任教授でいらっしゃる
岡井 崇先生の「ノーフォールト」

ドラマ化の常として、どう原作が捏ね繰り回され、改変されていくのか不安ですが
原作の方は間違いなくお薦めできる医療小説です

2007年に発刊され、その後の産婦人科の学会の書籍コーナーでは平積みされ、
多くの医師達が買い求めていました

主人公の柊奈智が置かれる状況は、臨床にあたる産婦人科医として決して他人
事ではない、明日起こってもおかしくない状況です。
そしてその周囲の人達とのディスカッションで導き出される治療方針・戦略は同
様の場面があれば多くの臨床家が取りうる選択です。

そんな彼女が医療過誤訴訟という場に身を置き、心身ともに追い詰められていく
描写は我が身事として、臨床に携わる事に対する意識を新たにするものでした。

ドラマ化では、公式ホームページによると

主人公は入局5年目の産科医・柊奈智。
奈智は、異常なまでに「命」に強い執着を持ち、高リスクを背負ってでも患者を
決して見捨てない信条の持ち主。又、極端に言うと、「命を救うこと」にしか興味
がないため、周囲とのコミュニケーション能力が欠落している。
それ故、奈智の行き過ぎた行動は、周囲に理解されぬ事もしばしばで、医局で
は鼻つまみ者の存在。そんな折、新人医師・玉木聡が、奈智の下につくことに
なる。
玉木は指導もせず、自分を無視し続ける指導医の奈智に苛立ちを募らせる。
そんな中、奈智の人生を狂わせる、ある重大な事件が起こる


と「5年目の産科医」と「柊奈智」以外の設定が別ものになっています。
研修医も「矢口・女性」→「玉木・男性」と異なっています
また原作が産婦人科医5年目(非新臨床研修制度以前の直接入局)であるのに
対し、藤原紀香が演じるのは入局5年目の産婦人科医。現時点の設定ならば
初期臨床研修2年+入局5年=7年目の医師でしょうか。
→ん?ストレートの5年目で研修制度にかからない学年?わかりませんね。

原作の中で重要な手術執刀シーンに関し、柊奈智の経験年数は2年目でもなく
10年目でもなく、5年目周辺である必要性が物語成立の為にあったと思います。

自分一人の判断と技術で出来る事
自分一人では出来ないけれど、サポートが少しあれば出来る事
自分一人では出来ないけれど、直接指導があれば完遂出来る事
例え直接指導があっても技術的に完遂は難しい事

そんな、現場では十分な戦力とみなされつつも、上級医の助けも必要な
中堅手前の経験年数であるからこそ、
実際の医療場面でも遭遇し得る、判断に迷う場面での葛藤にリアリティがあった
のだと感じます

そんな原作を基に「入局5年目の産科医」をドラマでどう描くのか、非常に興味
深いところです。

多くの入局5年目の産婦人科医は
・通常の帝王切開には自信はついてきたけれど、前置胎盤・癒着胎盤合併の帝王
切開や帝王切開後子宮全摘の症例経験数は多くなく不安
・腹腔鏡下手術の執刀数も、非内視鏡学会技術認定医であり多くない
・産科超音波スクリーニングはしていても、胎児治療の主治医としての経験数・技術
は多くなく不安
・人に自信を持って教える位の骨盤位分娩数・鉗子(吸引)分娩数は持っていない
・広汎子宮全摘など拡大手術の術者としての技量をまだ有さない

などなど、決してスーパードクターにはなり得ません
それは個人の努力云々と言うより、10年目の医師になる為には、やはり10年前後の
経験年数が必要だからです。

その為、緊急を要さない場面では分娩のハイリスク群・ローリスク群をしっかり選別し
技量に合った関わり方が実際の臨床では重要なのだと思います
自分が命を救う事が出来なくても、他人(上級医)が救う事ができれば、それはチーム
医療として成功しています。

「自分が助けなければ!」と言うのは、緊急の場面では確かに重要な情動です。
ですが、それが「異常なまで」ならばメサイアコンプレックスと紙一重です

産婦人科医がクローズアップされる医療ドラマは珍しいので、良い意味で注目される
展開になる事を期待しています。

*コメントを下さった方々へ。
*コメントありがとうございました。後日お返事致しますので、遅筆失礼致します。






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