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医師不足は避けられますか? 国は何をし、地方はどうしたら良いですか? 医師はどうすべきで、患者は何を求めますか?
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医師の僻地勤務義務化について

少し考えてみます

「医師は多額の税金を投入されて養成された、いわば公共財。全国民に等しく医療を提供する義務を負う」

医学生一人当たりにかけられる税金がいかほどか知りませんが、卒業後数十年医療サービスを提供し、それでもなお足りない、還元できていないほど高額の税金が投入されているとは、寡聞にして知りませんでした。

また税金を投入した人材には「強制的」でも「本人が拒否」しようとも、居住の自由を奪ってまで、「奴隷的苦役」に就かせる事が可能な国家であるとは、寡聞にして知りませんでした。

日本国という民主国家で生きていく中、教育を受け、整った交通・医療インフラを受益している全国民に、等しく同様に、国の為に働く責務を負わせる事が可能になる、という点で徴兵制に踏み出すまであと一歩と言うところでしょうか。

「医師の資質・能力向上に僻地勤務は役に立つ。自発的に進んで行くべきだ。」

政治家は情勢不安定なソマリアあたりで、混乱回避のOJTでもして自らを磨いてきてはどうでしょうか。
自衛官に実戦訓練して来いと、ちょっと38度線をウロチョロして生きて戻って来いと誰が命令するでしょうか。
旅行会社に入社したばかりの新人に、一人で独立国家シーランドまで行って来て観光プランを練って来いと言うでしょうか。
産婦人科研修が始まって1か月にもならない研修医に、指導医前立ちなしで一人で帝王切開をさせるでしょうか。
それぞれがプロですから、独自の養成法で、独自のノウハウでその世界の流儀と実力を身につけていきます。
その世界を垣間見と事もない素人が、思いつきで「それがあなたの為だから」と、恩着せがましく提案し
しかもその背景にそう提案した人の利権が絡んでいて、納得できる人はいません。
人の命を預かって、訴訟の恐怖と闘って、自分と家族の時間が削られて、疲弊して疲弊して疲弊して。
そんな環境に人を行かせようとする時、そこには礼儀があってしかるべきだと考えます。


「公務員の教師・自衛官などにも転勤の辞令・命令があり、一般企業でも九州から北海道への配置換えはありうる事。医師のみが働く場所を制限・強制されるわけではない。」

少なくとも現在医師になっている人、この春医学部に入学する新1年生までは、僻地勤務義務の契約も、暗黙の了解も、何も国とも都道府県とも交わしていません。
来年度の新1年生から募集要項に書き込むのが良いでしょう。
それとも医学生イコール医師ではないとの強弁を持ち出して、来年の医師国家試験の受験要項に「僻地勤務義務」を書き足すでしょうか。
念願だった医師免許更新制を導入し、「更新には数年の僻地勤務を必要とする」と定めるでしょうか
開業・管理者の要件に「僻地勤務経験」を必要とするよう再度法案化を目指すでしょうか。
出来る事から始めてください。どこからも文句の出ないように、法案をしっかり作って下さい。
話は本当はそれからです。長い長い、憲法違反の訴えの争いの始まり
その間更なるアクセルが踏まれ、最高裁で判決が出るまでに多分完了してしまう医療崩壊の新しい始まりです。


それに
僻地勤務が義務化された後の事、国や地方はどこまで考えているのでしょう?
義務には権利で対抗するしかないのですから

労働基準法をしっかり守り、週40時間労働しか致しませんが何か?
当直明けはしっかり休ませて頂きますが何か?
リスクある症例は訴訟の火種になりますので、この病院では診られませんが何か?
「救急外来の当直は通常勤務扱いとして頂きますが何か?
産休、育休は規定通しっかり取らせて頂きますが何か?
年休は全て消費させて頂きますが何か?

そんな医者は言語道断だと、怒りますか?
今まで奉仕の念で支えられてきた現場に、義務と言う力を持ち出して
それに正当な権利で対抗する事に、逆切れしますか?

それとも、そんな権利を行使できないように新たな法で医師を縛りつけますか?

専門家がこぞって「それは違う」と反論しても、無実の医師を逮捕して何も反省しない現状なら

それならいっそ

このまま崩壊してしまえば?

と思う医師が増えても仕方がないです

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医師不足の対処法、解決策、改善案が色々と出ています。
どうするのが、医師にとって、患者にとって、国にとって、地方にとって最善の策なのでしょう。

1)医師を高額の給与、休日を補償する人員体制で地方に招聘。期限付き。

医師が元々勤務していた職場を退職するのは、その待遇が適切でないと感じている場合も多いです。
その場合、待遇の改善によって医師不足の病院に呼び込む方法は適切でしょう。
ですが地方都市と僻地ではその待遇に更なる差が必要となります。また地方に永住しても良いと言う医師を探すのは困難でもあり、期限付きでの好条件募集が現実的かと思います。
一番簡単な方法でもあり、一番難しいこの方法。問題点は何でしょう?

1つは好条件にも上限があるという事です。地方が捻出できる、また地域住民の理解を得れると地方議員が考える条件とは、地方で勤務する事のマイナス面を考慮した場合割に合わないと医師が考える条件である事が多々あります。認識のギャップはどちらかが歩み寄るか、物別れに終わる事を是認するかですが、現状で売り手市場の医師に歩み寄りを求める事は実際的ではないと思います。
1つはそもそもフリーの医師自体パイが限られている為、医師不足の病院数に対し元々の医師数不足の為招聘しようがないという事です。これは医師を招聘する為の労働環境改善=周囲のマンパワー確保、の実現にも支障を来たし、悪循環になり得ます。

待遇改善は現在医師勧誘の必要条件でしかない、この現状はしばらく変わり得ないと思います。
待遇改善を声高に訴える事は医師にとってマイナスイメージでしょう
ですが、本来評価されて然るべき労働であり、一方でそれを評価する施設があれば当然医師はその施設に移動していきます。自ずと変わろうとしない施設であれば、何も言わずに立ち去るだけと。
ですがそれを医師の金儲け主義と批判する立場も当然あります。その意見が真に医師不足に悩む立場からなのか、安全な立場での意見なのかにより重みも随分と違うものではありますが。

2)医師の公務員化による人事権の把握

医師を公務員として雇い入れようとする地方は増えつつあります。3年間の派遣+1年間の有給研修など特典をつけている場合も多いようです。
地方にとって医師の人事権を掌握する事は大変魅力的です。僻地に強制的な人事権を持ち派遣が可能になる事は、医師不足に悩む地域、医師確保の期待をかけられている地方議員、地域住民にとって望ましく、安定した供給が可能なシステムを構築したいとの考えは理解できます。問題点は何でしょう?

1つはその公務員化に対する医師の応募が少ない点です。医師が数年単位で人事権を委ねる母体組織は、大概2つに別れます。強力な人事権を有する医局人事、金銭的なインセンティブを持つ民間医局、どちらも人事異動に対しそれ相応の(短期的であれ長期的であれ)、医師本人に対しメリットとなる人事であるからこそ、ある程度地方の派遣先を告げられても頷く事になります。
医師を公務員として雇い入れたいと考える地方の中には、ただ医師の人事権を手に入れたいと考えるのみの姿勢が見え隠れする場合があります。医師に対し人事権を有する場合、その代償として当然考慮しなければいけないその医師に対する報酬・対価について、公務員としての身分保障のみでは当然足りない事に対し、畑違いの地方行政の役人には分からない点もあるかもしれません。公務員としての魅力を感じる人に取り、職場を転々とし自分のスキルで稼ぐ事の可能な医師の取り扱いは難しいでしょう。

3)医師の強制配置、科の強制割り振り

強制力を以て障害を排除するというのは最も簡単であり、安易な手法ではあります。現在の医師不足の報道が溢れるにつけ、どうして強制的に配置しないのだと怒りを感じる人が増えるのも理解できます。
強制力が働き困るのは医師のみであり、医師のみの不満を飲み込めば医師不足に悩む地域、批判される国政、地方行政、国民の安心を担保可能と言う点で、最大多数の最大幸福の為、公共の福祉に反する現状改善の為との名目で、国家が医師の人事権を全て掌握するというのは魅力的でしょう。問題点は何でしょう?

言うまでもなく強制である点が最大の問題となります。憲法違反の訴えに結論をつける事が可能なのか、強制に対し本当に国民が納得するのか、医師の免許証を放棄した場合の取り扱い、不向きな科・望まない地方での非精力的な働きに対する罰則は、その強制力が他業種に及ぶリスクを考慮しているのか、など目の前の医師不足に対し、決して結論が出ない事は明らかです。
未だ本気で強制力を以て医師不足を解決しようと考えるメディア、政治家がいるとすれば、それは現在の医師不足に対してではなく、超長期的視野に立つ取り組みである事を受けとめる側も理解すべきです。

4)医師養成数、養成校の拡充

これも広く言われている事であり、現在の医師不足を鑑みるに方向性としては間違ってはいないと思います。
ですがこれもまた中~長期的な解決策であり、5-10年単位でより急速に進むであろう医療崩壊の解決策にはなり得ません。問題点は何でしょう?

医師を養成するのに学部6年、中途入学でも3年、初期研修に2年、科専攻後のspeciality獲得まで5年程度でようやく0.8人前の医師が出来上がります。計10-13年です。促成栽培を行うとしても、現在の要求される医療水準を満たすにはマイナス可能だとしても数年程度でしょうし、それすら無理かもしれません。
また例えば小児科、産婦人科に特化した医師を養成すれば良いとの意見もありますが、果たして可能なのでしょうか?非医師に取って、マイナー科の医師はその分野しか知らないとの見方もあるでしょう。確かにその一面もあるかもしれません。ですが、どの科を専攻するにせよ医学生時代、臨床経験をつむ中で各科にまたがる病態論は当然理解しなければいけません。真に小児科のみ、産婦人科のみとの知識を詰め込めば、その科の医師が出来上がるとの考えは、共通の知識をある程度有し、医学の中で共通言語を操れるという面を軽視しているように思えます。

何れにせよ短期的に医師不足を解決する方策ではありません。ただし見直す点にはあると考えます。
勿論医師を養成するにはその何倍もの医師が必要であり、かつてのようなマスプロの教育ではなく、少人数、臨床重視の現在の医学教育の水準を維持・引き上げた上での教育が、この医師不足の中可能なのかと言う問題点は残ります。

考えてみたけれど、上記の4策では現在の医師不足を即効的に解決できません。
何をどうすれば、本当に解決するのでしょうか?
解決する事が可能な問題なのでしょうか。

選択肢
1)諦めないで医師不足の解決策を考える
2)諦めないけれど医師不足から波及する諸問題を、仕方ない事だと認める
3)諦めて医療格差をあるものだと考える
4)何も考えないで成り行きに任せる
5)病院の世話にならないから関係ない

我々は福島事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します

医師不足の解決法
考えてみたけれど、事態を即効的に解決する、そんな解決策は存在しなく
地道に、ゆっくりとでも環境を整えていくしかなくて

医師不足→残った医師の負担増加→患者さんにかけられる時間の短縮→患者さんのクレーム増加

残った医師の負担増加→連続勤務→疲労困憊→判断力低下→医療過誤?の眼差し→医療訴訟→防衛医療

患者さんのクレーム増加→マスコミの医師バッシング→医師の逃散→医師不足

この負のスパイラルをどこで止められるのか。
どうやって止めるのか。まだ有効な決定打のない現状

そんな中、医師不足を止める・緩和するのと、真っ向から対立する懸案事項
それが福島県産婦人科医の不当逮捕

「この逮捕は医師不足が招いた悲劇」と言う、医師側に責任ありきで、敢えて医師不足を解消する為に
擁護する、そんなわけではありません
医師不足、それがなくとも、逮捕された医師の行為は非難されるべき事ではなかったと、
まして逮捕される類のものではなかったと
そう考えます

医師不足の現状だから、逮捕された医師を守れと言っているのではありません
そんな時代じゃなかったとしても、非難されるいわれのない、逮捕されるいわれの無い
誤りではない選択を、不当逮捕された医師は取ったのだと考えます

ただ、この逮捕は産科医師不足に拍車をかける結果となりました
当然の成り行きです
第一に、医学的に誤りではない行動を取った医師を逮捕した点で、この逮捕は批判されるべきです
第二に、全国的な問題となっている医師不足に拍車をかけた点でも、この逮捕は批判されるべきです

面子の為の逮捕、面子の為の起訴、面子の為の有罪持ち込み
ここまで誤まった行為が続き、誤りを正す事が出来るのは、最早判決のみとなってしまった事すら
医師の無力感を誘発するのに十分な事でした
もし、この不当逮捕で有罪になるような事になれば、日本の産科医療は終わりになると考えます

防衛医療、それを完璧に現場の医師が実践した時
最後の砦はどこになるのでしょう?どこが手を挙げるのでしょう?誰が参加するのでしょう?

医学的に非難されるいわれの無い事柄で、幾ら同じプロフェッショナルの同僚が擁護しても
机上の知識で学んだ素人に却下され逮捕される
そんな危険を誰に冒してもらいたい、誰が冒すべきだと、かの人達は考えているのでしょう?

もうpoit of no returnは超えた、そうかもしれません
ですが、もしこの逮捕が肯定されるような事になれば本当の終わりです

これから産科医療に携わる若い医師・医学生、そして現在携わっている同僚の為に

我々は福島事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します

本記事は
新小児科医のつぶやき
2.18企画
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20070207
に賛同した記事です




市民「医者不足がなかなか解消されませんね。本当にどうしたら良いのでしょう。」

他人「今いる医師数は変わらないわけですから、短期的に改善するのは難しいかもしれませんね。」

市民「ですけど、医者を増員するには何年もかかりますよね。そんなに待つ事は出来ないですよ。」

他人「ではどうしたら良いと思いますか?」

市民「今いる医者の数は変わっていないわけだから、少ない病院に医者を増やすには余っている病院から
連れてくるか、今休んでいる医者に再就職してもらうしかないですよね。」

他人「他には海外から医師を招聘すると言う方法もありますが。」

市民「ニュースでも見ました。ですけど、海外から医者を呼んで働いてもらうって簡単にいくんですか?」

他人「実際は医師国家試験や旅券の問題などで、日本の医師と同じ条件で戦力として期待できる環境を
整えるには時間が必要でしょうね。」

市民「すぐに海外から来てもらうってわけにはいかないんでしょうか?」

他人「医師不足の地域に、ポンと日本の医師免許を有さない海外の医師を派遣もしくは招聘する事は
法的なハードルが高く即効的な解決策ではないでしょうね。長期的にはどうなるかわかりませんが。」

市民「じゃあ、やっぱり医者を再配分するか、休んでいる医者に復職してもらうしかないですか?」

他人「まずはその2つの方法が医師不足の地域の解決策としては現実的でしょうね。」

市民「1つ目の医者の再配分ですけど、医者が余っている病院というのは実際あるんですか?」

他人「そうですね。医師不足の地域では『医師確保』を目的に活動していますが、その招聘する医師自体
がいなければ、無い袖は振れないと言う事になります。比較的医師数が多い病院というのは存在しますが、
余って困っていると言う病院は存在しないんじゃないでしょうか。」

市民「じゃあ、限られた医者数を比較的公平に分配するにはどうしたら良いんですか?医者の数が余っている
病院がない中で、医者の数が少ない病院の医者数を増やすにはどこから医者を調達したら良いんですか?」

他人「勿論総医師数の他、科による人数を考慮しなければいけませんが、比較的医師数に余裕があると言う
病院でも、ある科で1人、2人と言う単位で余裕があるだけです。それもその医師が実際抜けた場合現場の
労働環境は悪化するわけですから、医師を手放せる環境にあると言う病院は本当に少ないでしょうね。」

市民「日本の医者の数は計算上は不足していなく、偏在が原因、ベッド数が多いのが原因ともニュースで
見ますけどどうなんでしょう?」

他人「人口当たりの医師数の数は他の先進国に比し大きな問題となるほど少ないわけではなく、それが医師数抑制政策の根拠となっていたわけですが、病床数当たりの医師数は確かに他の先進国に比べて少ないですね。偏在については都心、県庁所在地に集中しているのも事実だと思います。」

市民「結局今は医者の数は足りないんですか?」

他人「数字的には足りていても、現場で不足感が強い現状は明らかに医師不足でしょうね。」

市民「そのベッド数が多すぎて医者の数が足りなくなっているなら、ベッド数を減らして1つの病院あたりの医者
の数を増やせば良いだけなんじゃないですか?」

他人「その病院の集約化、統廃合を行うと確かに1病院当たりの医師数は増えて、現場の医師の負担も減るでしょうね。ですが、それが一番簡単で一番難しいからこそ進まないんでしょうね。」

市民「どうしてですか?」

他人「『あなたの地域の病院は医師不足の為閉鎖します。つきましては今より30分離れた病院を受診してください』。集約化された地域の住民は病院が大きくなって問題としないでしょうが、病院がなくなる地域の住民は強固に反対するでしょうね。それが必要な施策だとしても、納得を得るのは難しいでしょうね。」

市民「まあそうでしょうね。私だって近くの病院がなくなるって聞いたら反対しますよ。」


他人「誰だって不便になる事には反対すると思います。署名を集めて、議会に陳情して、反対活動をする事も理解はできます。ですが、反対できるうちは良いですが、現在の医師不足は有効な打開策がないわけですから、共倒れや医師の逃散を防ぐ点では総合病院の集約化、統合を広い視点でとらえる事も求められるでしょうね。」

市民「だけど病院の集約化だって短期間で簡単にはいかないですよね。勿論反対運動などもあると思いますけど、それ以外だってその病院で働いている人の雇用問題とかも絡んできますよね。」

他人「そうですね。例えば全ての病院が公立病院であれば統廃合も可能かもしれませんが、所謂公的病院でもそれぞれ経営母体が違うわけですから、その病院群で機能を集約化するのは実際は難しい問題です。」

市民「どちらにしろ短期的には難しいと言う事ですか?」

他人「集約化すると言ってもそこで働く医師を確保できなければ、病院自体は動きません。その医師の確保にはその地域などから医師を集める事が求められますが、大局的な理解・認識を住民、経営陣、現場スタッフで形成していくには時間がかかるでしょうね。ですが例えば産婦人科、小児科などは避けえない科もあるでしょうね。」

市民「最近は県の職員として医師を雇用して、県職員の身分で医師不足の病院に派遣すると言う事もニュースで見ましたが、これはどうなんでしょうか?」

他人「詳しい制度は県によるでしょうが、一般と比べ医師は特に公務員の身分に魅力を感じる事は少ないですから、よっぽど魅力的な制度を導入しない限り応募が増えないと思いますね。」

市民「そうなんですか?安定した身分と、退職金など、一般的には公務員は人気が高いと思いますが?」

他人「医師免許があれば特に就職に困らないわけですから、特にこの医師不足の中では。その売り手市場の中で公務員として可能な招聘の待遇は制限された上で医師を集めるのは難しいかもしれませんね。」


市民「休んでいる医師の再就職についてはどうですか?」

他人「それはまた別の機会にしましょうか。」

大切な人と長く一緒にいたいと思うけれど
子供のそばにいたいと思うけど
記念日を一緒に過ごしたいと思うけれど
当直がそれを不可能に
夜間の呼び出しがそれを不可能に

誰かの幸せな時を守る
今日も自分と家族の幸せを切り捨てて
引き止める家族の声を背中に受けて
今日も明日も明後日も
眠れぬ産直に向かいます

1人なら365日
2人なら183日
3人でも122日
4人
でやっと月に8回
5人
人が羨む月6回
6人
でも他科より多い月5回
7人
、そんな病院滅多に無くても月4回

+αの第2拘束に縛られて
365日のカレンダー、時間外勤務で埋まります
それでも事務に切られる時間外
聖職と言う名の美辞麗句
倫理意識と言う名の正論

誰かの幸せな時を守る為
今日もどこかの産科医とその家族が犠牲になって
地域のお産を守ります

そんな生活が産婦人科なのだと教えられ
諦めて働く産科医いつもでも供給され続けると
どうして思えていたのだろう
家族と過ごす時間、せめて人並みの半分
子供と過ごす時間、せめて人並みの半分
そんな望みすら持つ事を諦めろと言われる産婦人科に
順応して働く産科医がいつまでも確保できると
どうして信じられたのだろう

今日まで地域のお産を守ってきた歴史すら
1例の予期せぬ死亡逮捕と言う事で終止符を
構造の問題すら個人の責務に帰結され
今日まで頑張っていたあの人も
地域の声は守ってくれず

誰が言ったか立ち去り型サボタージュ
誰が責める
事ができるでしょう
大切な人のそばにいて
大切な子供の成長を見守る事も
大事な人の別れにも立ち会えず
365日24時間拘束されるその職種
産婦人科を選べなど
誰が押し付ける事ができるでしょう

誰かの善意に期待する
そんな仕組みは長く続かない事に気づいた時は
既に時は遅く再生は難しく
ただの署名は紙切れに
ただの呼びかけは誰に届く事無く
地方の風に舞うのでしょう

せめて今いる地域の産科医に花束を
立ち去る産科医にも花束を

いつか来てくれるはずの産科医に花束を




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